不動産を相続する際にかかる費用
1 相続税の申告・納付とこれに関する費用
不動産を相続した場合には、まず、相続税を納付しなければならない可能性があります。
不動産を含む相続財産の総額が、基礎控除の額(3000万円+600万円×法定相続人の人数)を超えない場合、申告も納付も不要です。
しかし基礎控除の額を超える場合、特例等の使用の結果、たとえ納付額が0円となる場合でも申告は必要になります。
申告が必要な場合、不動産については小規模宅地の特例による控除等、様々な控除を適用することで納付額が下がる可能性がありますので、税理士に相談されることをおすすめします。
税理士に申告書類の作成等を依頼した場合、税理士に対する報酬の支払いも必要となります。
税理士報酬は事務所によって異なりますので、依頼を検討している税理士に直接ご確認いただくとよいかと思います。
2 不動産の名義変更にかかる費用
不動産の名義変更(正式には不動産の相続を原因とする所有権移転登記申請手続)のためには、まず、申請書に貼付する印紙代(登録免許税)の納付が必要になります。
登録免許税について、土地であれば、原則は不動産の評価額の1000分の4となります。
また、名義変更には、戸籍の取得や申請書の作成が必要になりますので、専門家に依頼されることをおすすめします。
専門家に登記申請を依頼した場合、その報酬も必要となります。
事務所ごとに報酬は異なりますので、依頼を検討しているところに直接ご確認いただくとよいかと思います。
3 相続した不動産を売却したときにかかる費用
⑴ 不動産譲渡所得税
不動産を相続する場合に、複数人共同の名義で相続し、その後不動産を売却し、売却した金額から売却費用を差し引いた額を法定相続分で分割するという合意をすることがあります。
この場合は、売却益に対して不動産譲渡所得税が発生する可能性があります。
なお、相続税の申告期限から3年以内に相続により取得した不動産を売却した場合は、納税した相続税のうちの一定額を、譲渡所得税の計算の際の取得費に加算できるという特例があります。
参考リンク:国税庁・相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
⑵ 不動産売却の仲介手数料
不動産の売却を不動産仲介会社に依頼した場合には、売却に当たり別途、不動産の仲介手数料が発生します。
仲介手数料は宅建業法で定められていますが、不動産の売買価格が400万円を超える場合には、売買価格×3%+6万円(消費税別)が上限となっています。
また、不動産の売却方法の仕方によっては別途費用がかかる場合があります。
⑶ その他の費用
例えば、空き家のある土地を売却する際に、売買の条件として「解体して更地にして引き渡す」といった条件や「家の中にある残置物を撤去して渡す」といった条件が付けられた場合、解体費用や残置物の撤去費用が発生します。
他にも、確定測量を行うことが売買の条件となっている場合には、売主側が確定測量の費用を負担することが一般的です。
解体費用や残置物の撤去費用、測量費用の金額は不動産ごとに異なります。
中には多額の費用が必要となる場合もありますので、不動産を売却される場合には売却の条件にも留意することが必要です。
相続する土地の評価額の調べ方 相続財産の使い込みを防止するための方法