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相続放棄をした方が良いケース

  • 文責:所長 弁護士 石井浩一
  • 最終更新日:2024年7月22日

1 相続放棄をすべき代表的なケース

相続放棄をした方が良いケースは、主に以下のような場合です。

⑴ 借金のほうが多い場合

相続財産には、預金などのプラスの財産と借金などマイナスの財産があります。

このプラスの財産よりも借金のほうが多く、収支が赤字になってしまう場合は、相続放棄をした方が良いといえます。

相続放棄をすればプラスの財産を相続することはできなくなるものの、借金の支払いをする必要もなくなるためです。

⑵ 価値のない不動産がある場合

不動産といっても、価値が高いものばかりとは限らず、山や畑など売ることのできない土地や、いつ倒壊してもおかしくない家など、相続するとかえって迷惑なものもあります。

山や畑など値段のつかない不動産は、引取手が見つからなければ、固定資産税だけがかかってしまいますし、放置したままでは草などが生い茂ってしまう状態になりますので、周りに迷惑がかからないように草刈りなど、その不動産の管理もしなければなりません。

家屋の場合、仮に倒壊して隣家に迷惑をかけてしまったときには損害賠償責任を追うリスクがあります。

しかし、相続人全員で話し合いをしないと取り壊しをすることもできないうえ、取り壊すには100万円以上の費用がかかることも珍しくありません。

そのため、このような価値のない不動産がある場合は、相続放棄をしてしまった方がいい場合があります。

⑶ 他の相続人と関わりたくない場合

亡くなった人に子供がいない場合、兄弟姉妹や甥姪が相続人になってしまうことがあります。

何年も会ったことのない人から突然相続をしてしまうと、財産状況も分からなければ、他の相続人も全く知らない人ばかりということも多いです。

そのような中で相続をする場合には、財産を調査し、相続人全員で話し合いをすることになりますが、よく知らない人と財産の話をするのはご負担になることもあるかと思います。

そのため、仮に財産がプラスになる可能性があるとしても、財産調査をせず相続放棄をしてしまう方も多いです。

2 相続放棄のデメリット

ここまで、相続放棄をした方が良いケースをご紹介してきましたが、相続放棄には次のようなデメリットもありますので、慎重に判断することが大切です。

⑴ プラスの財産も相続できなくなる

相続放棄のデメリットは、プラスの財産も相続できなくなってしまうことです。

例えば、自宅が亡くなった人の名義だった場合、相続放棄してしまうと自宅から出ていかなければならなくなってしまいます。

どうしても自宅を残したい場合は、借金と一緒に相続をするか、相続放棄をした上で相続財産清算人から自宅を買い取るなどの対応をする必要があります。

⑵ 放棄しても管理責任が残る場合もある

相続放棄をすると、相続人ではなくなるため、遺産である土地や建物に対して所有者としての管理責任がなくなります。

しかし、放棄時に相続財産を占有していた場合、相続放棄をした人は、他の相続人や放棄により新たに相続人となった人が相続財産の管理をできるようになるまで、財産の管理責任を負います。

そのため、今にも倒壊しそうな家屋があるからと相続放棄しても、放棄時の状況によっては管理責任が残るケースがあるため注意が必要です。

⑶ 保証債務はなくならない

相続放棄で支払い義務がなくなるのは、あくまで、「亡くなった人名義の借金」です。

亡くなった人が借りた借金であっても、保証人の名義が相続人名義である場合、相続放棄をしても借金の支払い義務はなくなりません。

そのため、相続放棄でプラスの財産を放棄したのに、保証人であったため借金だけ残ってしまったということがないように、よく確認をする必要があります。

相続放棄を依頼する弁護士の選び方

  • 文責:所長 弁護士 石井浩一
  • 最終更新日:2024年8月9日

1 取り扱い件数で選ぶべき

弁護士に依頼する必要がある場面は、それ程多いわけではないと思います。

このため、いざ弁護士に依頼しなければならないとなった場合、誰に依頼すべきかは、悩ましい問題となります。

弁護士にも、現実には、得意分野とそうではない分野があり、どの弁護士に依頼するかにより、結論が大きく変わってくることがあります。

相続放棄を依頼する弁護士は、基本的には、過去の取り扱い件数で選ぶべきといえます。

ここでは、その理由について説明したいと思います。

2 手続きを確実かつ迅速に実行してくれる

相続放棄は、多くの場合、手続きを確実に進めることができれば、受理されます。

弁護士に依頼すれば、手続きを確実に進めるという部分はクリアされるとは思います。

もっとも、手続きを確実かつ迅速に進められるかどうかは、弁護士が相続放棄の手続きに慣れているかどうかによって大きく異なってきます。

相続放棄の依頼を受けることが少ない弁護士であれば、必要な書類や書式に記載すべき事項について調べながら進めることになるため、相応の時間が必要になります。

他方、普段から相続放棄の依頼を受けている弁護士であれば、必要な書類や書式に記載すべき事項を把握しており、スムーズに手続きを進めることができます。

例えば、弁護士に相談を行い、その弁護士に相続放棄に必要な書類(被相続人の戸籍、被相続人の住民票の除票、相続人の戸籍等)を質問してみたとき、その弁護士がすぐに回答できるかを確認してみてください。

すぐに回答できる弁護士であれば、実際に依頼したときでも、必要な書類を把握し、職務上請求で取得するなど、スムーズに手配を行うことができるでしょう。

3 イレギュラーな事案にも対処できる

相続放棄においても、一定程度、イレギュラーな案件が存在します。

イレギュラーな事案に対処できるかどうかは、弁護士によって異なってきます。

事案ごとの特殊性は多種多様であり、より相続放棄が認められる確率を高めるためには、事案の特殊性に応じた対応が求められます。

そして、過去に多くの相続放棄を取り扱っている弁護士であればある程、多種多様なイレギュラーな事案に対処したことがある確率が高まります。

このような理由からも、過去に多くの相続放棄の事案を取り扱ったことのある弁護士に依頼すべきといえます。

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相続放棄のご相談

相続放棄という選択

相続が開始した場合、相続人は次の3つのうちのいずれかを選択できます。

①相続人が被相続人(亡くなった方)の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐ単純承認

②相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない相続放棄

③被相続人の債務がどの程度あるか不明であり、財産が残る可能性もある場合等に、相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ限定承認

相続の開始により、相続人は、プラスの財産のみでなく、債務も承継することになります。

プラスの財産より債務の方が多い場合などには、相続人は、相続放棄の手続きをすることにより、被相続人のプラスの財産とともに負債を承継しないものとすることができます。

相続放棄の期限

ただし、相続放棄をするためには、被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所で申述の手続きをする必要があります。

この3か月の期間のことを熟慮期間と言います。

遺産を調査する必要があるなど、3か月以内に相続放棄の手続きを行えそうにない場合には、3か月の期間中に、家庭裁判所で熟慮期間の伸長審判の申立てをしておく必要があります。

現実には、相続人がそもそも借金や連帯保証があるかどうか知らず、3か月経過後に借金や連帯保証の存在が明らかになることがあります。

このような場合には、熟慮期間経過後でも相続放棄の伸長を認めた例も過去にはありますが、あくまでも例外であり、裁判所に的確・適正な理由を主張しなければなりませんので、専門家に相談することをおすすめします。

当法人にご相談ください

当法人は、専門家がご本人様に代わり、熟慮期間の伸長審判の申立ても含め、相続放棄の手続きをさせていただきます。

借金や連帯保証の存在を知らなかった場合は、熟慮期間経過後であっても、家庭裁判所で相続放棄の申述を受理してもらえるよう、必要書類を作成したうえで、手続きを進めさせていただきます。

この場合、債務が存在することを知ってから3か月以内に手続きを行う必要がありますので、特に早急にご相談ください。

当法人は、東京では、東京駅徒歩3分、日本橋駅徒歩2分の場所に事務所があります。

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