相続を争族にしないための対策
1 争族とは
遺産をめぐって相続人が争うことを「争族」と呼ぶことがあります。
法的争いの中でも、特に「争族」の問題は、数十年に及ぶ相続人同士の人的関係が背景にある等の理由から、なかなか解決のできない紛争に発展してしまうことも少なくありません。
ケースによっては、10年近く裁判が続くことや、30年以上も遺産分割が終わらないこともあります。
2 争族にならないための一番の方法
自分が亡くなった後、相続人同士が争うのを見たい人などいないと思います。
それでは、争族の問題を避けるためには、どうしたらよいのでしょうか。
争族を避ける一番の方法は、なにより、普段から親族間で良好な人間関係を保っておくとともに、相続が生じる前に、相続財産を残す人と将来の相続人全員の間で、事前にしっかりと話し合っておくことです。
3 遺言を遺すという方法
しかしながら、人間関係や相続人が大勢いる等で事前にしっかりと話し合うことが難しいケースもあると思います。
そのような場合に、将来少しでも相続人の間で争いが起きる可能性がある場合には、遺言を残しておくのが重要です。
遺言の方式はいくつかありますが、信用性の高い公正証書遺言を作成するのがおすすめです。
4 遺言を遺す際の注意点
遺言を遺す際には、いくつか注意すべき事項があります。
これらの事項を守らないと、せっかく遺言を遺したにもかかわらず、争族の問題を防ぐことができない恐れがあります。
まず、遺言の内容は、「確定している財産について、具体的に」記載すべきです。
例えば、あなたがこれから不動産を買う予定があるとします。
亡くなる前には確実に買うだろうということで、遺言に書いてしまうと、万が一、その不動産を買う前に亡くなってしまったときに、大きな混乱を招いてしまうことになります。
また、「3人仲良く平等に」等の指定は、特に不動産など、分け方が複数考えられる場合に、具体的にどのような分け方が「平等」なのか紛糾する恐れがあります。
可能な限り、「~~の不動産は誰」といったように具体的に記載することがおすすめです。
次に、認知症が深刻になる前に、早めに遺言を遺すべきだということです。
いかに公正証書遺言の信用性が高くとも、認知症が進んだ後に遺したものは、紛争になった際に無効とされる恐れがあります。
元気なうちに遺言を遺すことが大切なのです。
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