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  • 文責:弁護士 宮城昌弘
  • 最終更新日:2026年2月17日

権利証がなくても相続登記はできますか?

1 権利証の提出が求められるケース

権利証がなくても相続登記をすることはできますが、登記されている不動産の所有者の住所が、被相続人の住所と一致しない場合には権利証の提出を求められる場合があります。

そのため、権利証が無いことにお悩みの場合には、登記簿謄本を確認し、登記されている所有者の住所と被相続人の住所が同一といえるかを確認すると良いでしょう。

なぜこのような取り扱いがなされているのかという点について、以下、順を追って説明させていただきます。

2 権利証とは

まず権利証とはなにか、を説明させていただきますと、そもそも権利証と言う呼び方は法律上の正式な呼称ではありません。

登記手続上で登記済証、登記識別情報と呼ばれる書類を指して権利証と呼んでいます。

権利証という呼び方からもわかるとおり権利証とは権利を証する書面のことで、法務局で誰かが権利を取得する登記がされた際に、その権利者に対して発行される書類になります。

権利の種類としては登記できる権利であればどんなものでもよいのですが、多くの場合権利証と言えば最も重要な権利である所有権に関するものと考えてよいでしょう。

3 登記済証と登記識別情報

次に登記済証と登記識別情報の違いについてですが、かつては登記完了後には登記済証が発行されていましたが、平成17年を皮切りに各地の法務局で登記済証にかわって登記識別情報が発行されることになり、現在では全ての法務局で登記識別情報が発行されるようになっています。

東京管内の法務局については平成20年2月頃までにはすべて登記識別情報への切り替えが完了しています。

登記済証の特徴はまず紙面であることです。

登記申請の際にはかつて登記済証作成のために申請書の写しや、特に不動産の売買の場合であれば売渡証書と呼ばれる書類を提出していました。

登記完了の際には法務局でその提出書類に対して、申請の日付、登記の受付番号とともに登記済という朱印を押します。

その朱印が押された書類を以って登記済証と呼びますが、素材としては特に古いものでは和紙などで作られていることが多く、またその和紙を保護するため登記の申請を代理した司法書士によって厚紙の表紙が付けられている場合があります。

権利証、登記済証、登記済証書(証が旧字体の場合もあります)などと銘打たれていることが多いですが、確認方法としては末尾に登記済の朱印と申請日付、受付番号があるかどうかを確認してください。

1件の登記申請に対しては不動産が複数であっても、権利を取得する人が複数いても必ず1通の登記済証しか発行されていません。

また再発行することもできません。

続いて登記識別情報についてですが、こちらは電子申請の際の利便性などを考慮した結果、法務局から12桁の英数字を組み合わせたパスワードが発行されるようになりました。

パスワードの発行については申請時にその取得方法を選択できるようになっており、パスワードを記載した紙面を発行したり、データをダウンロードしたりすることができます。

実務上は特にパスワードが記載された紙面を指して権利証と呼ぶことが多いですが、実際にはその紙面には登記識別情報通知との記載があり、権利者の住所氏名、登記申請の日付と受付番号に加えて、中ほどに記載されたパスワードには目隠しがされています。

紙自体は緑色のA4サイズのものになりますが、古いものには目隠しシールが、最新のものでは織り込み式による目隠しがされており、織り込みの分だけ若干サイズが小さくなっています。

司法書士事務所に登記を依頼した場合には厚紙の表紙を付けて綴られることが多いですが、登記識別情報を専用のA4サイズの封筒に格納していることもあるようです。

登記済証と異なる点として、登記識別情報は一件の登記申請に対して、権利者ごと、不動産ごとに各1通発行されます。

またパスワードである以上、その漏えいには注意する必要があり、コピーを取られたりすることは非常に危険です。

不正利用のおそれがある場合にはパスワードを停止させる措置を取ることができますが、再発行はすることができなくなっています。

4 権利証の役割

権利証の主な役割としては、誰かが権利を得て誰かが権利を失うような登記申請をする際に、権利を失う側が法務局に対して提出するのが主な用途です。

権利を失う側とはかつて申請された登記で権利を取得した側でもあるので、法務局としては過去に発行された登記済証または登記識別情報を確認することで、人違いがないこと、また今回の登記が本人の意思で申請されていることを確認することになります。

5 共同申請と単独申請

上記で述べたような権利を取得する側と失う側の対立する双方が協力してする登記申請は共同申請と呼ばれるもので、登記申請は原則この共同申請でされることになります。

共同申請の典型例としては不動産の売買を原因とする買主、売主による所有権移転登記が挙げられ、この場合には登記申請の際に権利証を提出します。

一方で共同申請の例外として当事者の一方が単独で登記を申請できる場合があります。

所有者の住所の変更など権利の得喪には特に影響のない登記は所有者が単独で申請できるほか、不動産の売買などの本来共同申請すべきであっても判決などを得ることで当事者の一方から登記申請できる場合があります。

また不動産の所有者として登記されている人が死亡した場合に、その相続人が相続を原因として申請する登記も単独申請をすることができます。

これらの単独申請の場合には通常権利証の提出は必要ありません。

なお共同申請は当事者の双方、単独申請は当事者の一方という意味なので、一方の当事者が複数人いれば通常はその全員の関与が必要になります。

6 相続と共同申請と単独申請

それでは相続を原因として相続人が単独で登記を申請できる場合とはどんな場合でしょうか。

まず不動産の登記名義人が、相続人に対して不動産を「相続させる」旨の遺言書を残していた場合にはその相続人から相続を原因とする単独申請をすることができます。

また法定相続人が法定相続分どおりに不動産を相続する場合にも相続を原因とする単独申請が可能なほか、遺産分割協議をした結果特定の相続人が不動産を相続することになった場合にも単独申請が可能です。

なおいずれの場合も複数の相続人が不動産を相続する場合には、一部の相続人からその相続人の取得する持分についてのみ登記申請をすることは出来ません。

全員が申請人となって申請するか、相続人の一部から全員の相続分について登記申請される必要がありますが、後者については一部の相続人について登記識別情報が発行されない点に注意が必要です。

また相続に関する登記であっても共同申請による場合があります。

不動産の登記名義人が残した遺言書に、相続人に対して不動産を「贈与する」「遺贈する」と記載されていた場合には、遺贈を原因として所有権移転登記を共同申請すべき場合があります。

この場合には権利を喪失する側として遺言執行者がいれば執行者が、いなければ相続人全員が権利を取得する者と共同申請をすることになり、この場合には原則通り権利証を法務局に提出する必要があります。

7 相続を原因とする単独申請の例外

相続を原因として相続人から所有権移転登記を単独申請する場合には、亡くなった所有権登記名義人の出生から死亡までの戸籍に関する証明書、登記簿上の住所および死亡時の住所を証明する書面の提出が求められます。

しかし古い証明書によってはその原本が戦災などで焼失していたり、既に廃棄されている等の事情で、発行できない場合があります。

そういった場合に発行できない証明書を補完する資料として、所有権登記名義人の権利取得当時の権利証を法務局に提出する場合があります。

この権利証を喪失しまっていた場合には、登記簿上の住所に登記名義人と同一人物が存在していない事を証明する「不在住証明書」や、「不在籍証明書」を添付することで、対応することが可能です。

その他にも、固定資産税の課税明細書に被相続人の住所や氏名が乗っているかを確認することでも補完できる場合がありますので、法務局の指示に従うのが良いでしょう。

8 まとめ

相続に関連する登記であっても、遺贈などを原因とする共同申請による所有権移転登記では権利証を法務局に提出する必要があります。

相続を原因とする単独申請による所有権移転登記の場合は原則として権利証を提出する必要はありませんが、一部の証明書類が提出できない場合には権利証の提出が必要な場合があります。

9 最後に

相続で権利証を提出する場合ですが、権利証がどこにあるかを確認しようにも故人がどこにしまっていたかわからない、いざ探そうにも見たことないからどれが権利証なのかわからない、というような場合にはどうしたらよいのでしょうか。

そういった場合にはまず不動産登記簿謄本を法務局で取得するなどして、故人が所有権を取得した際の登記申請日付と受付番号を確認してみて下さい。

そうすれば登記申請日付によって登記済証が発行されているのか、登記識別情報が発行されているかのおよその目星は付くものと思われます。

東京都内の不動産であれば平成20年3月以降には登記識別情報が発行されています。

登記済証、登記識別情報の外観については、「3 登記済証と登記識別情報」も参考にして探されてみて下さい。

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